+++エピローグ+++



沖縄に行くことで生まれて初めて一人旅を経験することが出来た。
その経験の中で何よりも一期一会なものではあったが、
身も知らぬ土地で、身も知らぬ人と出逢い、
人間の素晴らしさ、温もりを知った。



旦那さんを早くに亡くし、
女手一つでパニック障害を患う息子さん、娘さん二人を育てているタクシーの運転手さん。
11月下旬とはいえ日差しが強く、気温も高いことから、東京からきたという僕を気遣って、
観光をしている間にミネラルウォーターを買って待ってくれていたこと。
コンビニエンスストアーに立ち寄って昼御飯をご馳走してくれたこと。
所持金が余りない僕に途中メーターを切り、当初の話より一箇所目的地を増やしてくれ、
3時間ばかり僕に付き合ってくれ、最後は駅まで送ってくれたこと。

チビチリガマへ向かう際に道を尋ねたバスのロータリー。
バスの運転手さんが偶然その方向へ出発するとことで、バス停でもない場所でバスを停め、
僕が降りると詳しく道を教えてくれたこと。

座喜味城へ向かう際に道を尋ねた小柄なおばあちゃん。
毎週片道1時間かけて病院と買い物に徒歩で行くという元気なそのおばあちゃん。
方言の判らない僕に、僕の表情を伺いながら方言を標準語で説明してくれたこと、
沖縄の暮らしについて尋ねた所、色々な東京との違いを教えてくれたこと、
別れ際に少し躊躇いながらも一緒にに記念撮影をしてくれたこと。

農作業中にも関わらず、判り辛い場所にあり、坂道が急だからと、
軽トラックで護座丸の墓まで案内してくれたおじさん。

半日近く車を走らせ様々な場所まで連れて行ってくれたお姉さん、
並びにサイパンのバンザイクリフにて命を拾ったお姉さんのおばあちゃん。

毎晩連日遅くまでインターネットで翌日の予定を立てる僕の質問を、
丁寧に教えてくれ、親切にも色々な資料まで下さったカプセルホテルの従業員さん。

また、沖縄に一人旅をすることに怯えていた僕を勇気付けてくれた友人。
現地のみどころを教えてくれた友人。
患う僕を気遣い「何かあったら連絡を」と現地に住む友人。
僕が無事に帰宅すること、様々な経験談を話すことで、僕以上に喜んでくれた家族に友人。
そして何よりも沖縄に行くことを勧め、チケットを譲ってくれた親父。



僕はこれまでに何度か自殺を試みたことがある。
沖縄の歴史とこういった些細な人間の優しさや温もりで、
かつてのその愚行を恥じた。

灯台下暗しとはよくいったものだ。
身近にあればあるだけ、
その存在に慣れきってしまってそれに気付くことがないものなんだなあ。




2006.03.28 (TUE)



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